幻想的な朝

幻想的な朝だった。窓を開けると真っ白な世界が広がり、見慣れた近所の家々がぼやけてうっすらとしか見えない。まるで山の中で夜明けを迎えたような気持ちになった。珍しく朝霧なのだ。しかも非常に濃い。湿度は100%。昨日の天気予報でも今朝は霧が発生するかもと言っていたが、偶には天気予報も当たるものだと思った。この朝霧は局地的なものではなく、全国的に濃霧注意報が出ていた。日本中が朝霧に覆われたようだ。テレビニュースでも朝霧の状況を伝えている。スカイツリーの下には雲海が広がり、その雲海の上にスカイツリーの影が映っている。今まで平地では見た事も無い珍しい光景だ。霧とは地上に舞い降りた雲だということが良く分かる。ニュースでは、霧と言ったり靄と言ったりしている。調べてみると、霧と靄は空気に含まれていた水蒸気が露点温度に達した際に小さな水粒となって空中に浮かんで視程を妨げる状態であることは同じだが、霧は靄よりも濃い。日本式の分類では視程が1km未満のものが霧で、1km以上10km未満のものを靄と呼ぶとのこと。定義は別として、朝靄と呼びたい。霧には冷たさを感じるが、靄には春先の暖かさを感じるからだ。昼間は20度を超え初夏の温度に達した。幻想的な朝靄の朝だった。