不作為の為せる業

米海軍のイージス艦が南シナ海人工島の12カイリ内で巡視活動したことに中国が強く反発している。元々2012年の南沙諸島の岩礁には中国の島など無かった。それが2013年に建物が出来、2014年にはすっかり埋め立てられフィリピン政府が中国に国際法違反と抗議した。その後埋立てが終了する頃中国船が頻繁に示威活動を繰り返すようになり、米国やマレーシア、フィリピンなど関係国が中国を非難した。そして今年6月中国が軍事拠点を構築したと発表した。南沙諸島は元々満潮時には水没する岩礁であり中国の領土ではない。したがって国連海洋法条約上も中国の領海など存在しない。だが中国は強引に領土・領海を主張し、一方、米国と近隣諸国は反発を強めている。誰が見ても当初から中国の横暴であるのに、何故今頃になって米国は「航行の自由がある」ことを軍事活動で示す作戦を採ったのだろうか。米国は一応今でも世界の警察という立場であるから、建設が始まった2013年に強力な軍事活動で制止すべきだったと思う。そうすれば8割方は米国の主張が通り中止に追い込めたはずだ。ところが軍事施設が完成した今になって主張しても弱い。既成事実を作ってしまった方の勝ちだ。中国から見れば、米国は文句があるならば何故建設着手時に反対を軍事行動で示さなかったのだ、完成するまで軍事行動をしなかったのは、建設を正当と認めていたからだ、と反発するに決まっている。結局オバマ大統領の不作為の為せる業なのだ。習近平訪米時に居直られ憤慨しても後の祭り。時既に遅し。舞台は既に、中国の領土対米国の挑発に移ってしまったようだ。