本音と建前

首相補佐官が物議を醸しているが、その当人の礒崎語録が面白い。今は「法的安定性は関係ない。わが国を守るために集団的自衛権の行使が必要かどうかが基準だ」との発言が注目を浴びている。また「9月中旬までに終わらせたい」発言が、参院の鴻池委員長の逆鱗に触れ「参院は衆院の下部組織でもなく、官邸の下請けでもない」発言を誘発した。更に「憲法改正は簡単なものから始め、国民を慣らしてから大きなものをすると良い」と言っている。「法的安定性」「9月中旬まで」「憲法改正の段取り」は全て補佐官一人の意見ではあるまい。官邸内で安倍と礒崎が交わしている本音ベースの会話に違いない。政治家は本音と建前を使い分けるのが得意だ。もし安倍が礒崎発言を間違いと思うならば、野党が辞任要求する前に更迭しているはずだ。更迭しないということは本音だという証拠とも言えそうだ。「法的安定性」問題に対する野党の追及内容も妙だ。「法的安定性は関係ない」ということは、集団的自衛権の行使は違憲だと言っていることと同じ。民主は礒崎の「違憲でも法案成立を」という主張に対し「違憲の法案を提出したこと」を追求すべきなのに、首相補佐官が「憲法なんかどうでも良い」ということを問題視している。ピント外れだ。平和の党であるはずの公明は平和憲法堅持のはずが、礒崎の違憲主張を容認している。与党ボケして落ちる所まで落ちてしまったようだ。いつになったら地に着いた国会討論が出来るのだろうか。