「安全」に対する考え方

エアバック世界第2位のタカタが、やっと自社製品の欠陥を認め方針を転換した。これでリコール対象のエアバックは1600万個から3380万個に拡大。今までに欠陥エアバックで6人が死亡し100人以上が重傷を負ったという。事故の内容は、エアバックが作動した時に内部の金属片が飛び散り、運転手や同乗者を死傷させたとのこと。欠陥の原因は確定されてはいないが、長期的な水の浸み込みにより、化学薬品がより強力な爆発成分に変質し、異常爆発を起こし金属片をまき散らしたと推定されている。何故これほど問題が深刻化してしまったのだろうか。タカタは部品メーカーだ。自動車メーカーは、スペックを提示してスペックに合格した部品を購入している。だから自動車に対するクレームは、自動車メーカーが負うべきものと考えるのも一理ある。通常の家庭用品や電化製品であれば、その理屈が通用すると思う。しかも米国ではエビデンスが重要視されるのが一般的だ。疑わしきは罰せずを信条として、タカタはこれまで科学的根拠がないと反論してきたのかもしれない。しかし「安全」に関する考え方が全く間違っていたのではないかと思う。自動車メーカーのスペックに合格したといえども、予期せぬことで不安全な事情が発生すれば、部品メーカーの責任は免れない。疑わしきは罰せなくても排除するべきものだ。タカタの欠陥問題が生じてから10年間も経っている。もしタカタの「安全」についての基本的考え方が間違っていなかったら、これ程大きな問題にはなっていなかったのではないかと思う。残念。