脱皮の始まり

非上場企業のサントリーが、初めて創業家出身者以外の経営トップを迎えると言う。しかもその人物はローソンの新浪剛史氏。衝撃的なニュースだ。いよいよ他社で経営者として力を発揮した人材を、自社で活用する動きが日本でも出始めたようだ。今までIT関係の人材を異分野の企業が迎え入れる事例はあった。日本HPの樋口泰行氏がダイエーに移ったり、アップルの原田泳幸氏が日本マクドナルドのトップに就いた。しかし、この場合は全く異なる分野から異文化を持ち込んで新しい切り口を切り拓くことが狙いだったように思う。だが今回のサントリーや資生堂の経営トップの交代は、それとは違う。言わば同業他社から有能な経営者を引き抜くようなもので、経営力そのものを評価してのことのようだ。これまでの日本の企業は、力のある者が経営トップに就き、長期に及べばその企業の天皇に昇華し、企業風土をその色に染めるのが殆んどだった。見方を変えれば、色に染まれば成長が止まったとも言える。サントリーは一皮剥いて色を変え新陳代謝を促そうとしている。まさに真の経営力の流動化が始まるのかもしれない。日本企業の更なる成長への脱皮が始まりつつあるようだ。