見栄、無責任、強欲が生んだ大惨事

韓国の大型旅客船が沈没し多くの犠牲者が出た。通常、大惨事が起きる要因は一つだけではなく、幾つかの要因が偶々重なった時に起きるものだ。今回の大惨事の直接要因は、全速時に急旋回したためバランスを失ったことのようだ。他の要因も多い。経験1年未満の航海士に舵取りを任せ、船長が現場を離れていたこと。船舶寿命は20年と言われているが、この船は日本で18年間使われていた寿命僅かな中古船を無理やり延命するため改造したもの。しかも乗船定員を増やすために5階部分を増築したので頭でっかちの不安定さを増長させていたこと。この船の車両積載限度は150台だが、それを超す180台の車が積まれていたこと。乗客にはその場に留まるよう指示しておきながら、船長と船員はいち早く下船してしまったこと。韓国政府はなまじ面子を重んじて近隣諸国の援助を断ったこと。その割には救助作業が後手後手に回ってしまったこと。これらの要因は全て人の為せる業だ。大統領は直接現場に出向くことが仕事ではない。近隣諸国を含め出来る限りの救助体制を作ることだ。船長が最後まで現場で指揮を取ることは言うまでもない。船会社の経営者は安全を無視した利益稼ぎに走るべきではない。見栄、無責任、強欲が生んだ大惨事と言えそうだ。