最後の警告と最初の警告

国交省の専門部会が日本の道路について「最後の警告」なるものを提言した。要は、これまで日本は道路を延ばす事だけに努力してきたが、道路造りとメンテナンスは本来の姿であるセットにすべき。老朽化は限界にきているが、今なら改修が可能。点検・診断の専門家を育てるべき。永続的なメンテナンスの重要性を国民や政治家が知るべきだ、というもの。老朽化した橋や道路が沢山有るからメンテナンスの重要性は充分理解出来る。行政も理解はしているが先立つものがないというのが現実だろう。しかし余りにもメンテナンスの重要性を強調し過ぎると200兆円の国土強靭化計画を後押ししてしまう恐れがある。いや寧ろ専門部会は国土強靭化計画の黒子の推進者かもしれない。地方に行くと、車も通らない辺鄙な所に立派な道路を見かけることが多い。スーパー林道とか農道だ。車も通らない立派な道路に金をかけるのに、交通量の多い老朽化した橋を何故補修しないのだろうかといつも疑問に思っていた。諸悪の根源は縦割り行政にあるようだ。日本の道路の老朽化問題を取り上げるには、まず日本の道路全体を俯瞰して、道路としての全体の整合性を検討すべきだと思う。その上で道路行政のあるべき姿を提案することこそ、最後の警告ではなく、最初の警告となるに違いない。