胆力と話力の戦い

ウクライナが世界の火薬庫になっている。いつ爆発するか分からない情勢だ。ウクライナは汚職三昧のユシチェンコ大統領を解任し新政権を樹立したものの、ユシチェンコがロシアに逃げてプーチンに援助を求めた時から混乱が始まった。国際常識で考えれば、新政権樹立が本道で、ロシアの介入は邪道。ロシアはウクライナの揉め事に口を出すべきではない。ところがプーチンの決断は速かった。西欧が対応を考えている間にロシアの最重要拠点であるクリミアをあっと言う間に占拠してしまった。クリミアはロシアの命綱だからみすみす手放す訳がない。しかもEU諸国はロシアのエネルギー源に依存している現状が足枷。岡目八目である経済封鎖戦略一辺倒のオバマ戦略は甘かったと言える。プーチンは、最悪の事態は戦争と考えながらクリミアを手中に収めた。一方オバマは何度も挽回のチャンスはあったが、プーチンの行動を読むことが出来ず後手後手を引いてしまった。残された選択肢はクリミアを容認するか、戦争に突入するかの選択しか残っていない。今時大国同士が直接戦争に突入する選択肢はない。従ってプーチンの勝ち、オバマの負になるに違いない。結局ウクライナ問題は、クリミアのロシア帰属で決着することになるのだろう。指導者の力量で情勢が決まる。プーチンの胆力対オバマの上辺だけの話力。優劣は歴然としている。シリアの時と同じだ。これが現実の世界だ。そもそもオバマとクリントン、オバマとケリーの大統領指名選で、どちらを選んだ方が良かったのだろうかと昔を思い出す。クリントンは冷静だ。ケリーは現場で汗を流している。結局プーチンの胆力、オバマの口先だけの話術、その差が今の世界を変えつつある。米国民主党は2度も選択を誤ったようだ。