雪を愛でるということ

戦後行方不明になっていた幻の浮世絵「深川の雪」が66年ぶりに一般公開されるとのこと。縦2m、横3.4mと巨大な肉筆の浮世絵で絵師は喜多川歌麿。今は米国の美術館にある「品川の月」と「吉原の花」とともに「雪月花」3部作として歌麿肉筆画の傑作と言われていることを初めて知った。日本人は「雪月花」が大好きだ。元々は白居易の詩の一句「雪月花時最憶君」だが、自然の美しさを指す言葉になっている。日本には「雪月花」が至る所にある。日本三景は、雪の天橋立、月の松島、花の宮島であるし、日本三名園は、雪の兼六園、月の後楽園、花の偕楽園という具合だ。更に宝塚歌劇団は雪組、月組、花組だし、雪月花という名の旅館は多いし、ユーミンの雪月花という歌まである。関東甲信の大雪被害の最中に「深川の雪」のニュース。物事には必ず二面性があるものだ。だが悪い面には触れずに、良い面を愛でることが出来るのは、日本人の心の素晴らしさに違いない。風流を解する日本に生まれて良かったと思う。