「いろはに金平糖」のジュウニカイ

いろはに金平糖、金平糖は甘い(中略)光るは親父のハゲ頭。これは自分が小学校に入るか入らないかの60年前頃に東京で流行っていた童歌だ。まだ幼かったので、最後のハゲ頭まで辿り着けると、とても嬉しかったことを思い出す。今でも暗記しており懐かしさを感じる。「いろは」と「ハゲ頭」の間には「高いはジュウニカイ、ジュウニカイは怖い」というフレーズがある。父や兄が「ジュウニカイは怖いよ~」と自分を怖がらせたが、当時はジュウニカイが何なのかは分からなかった。大人になってジュウニカイとは浅草の十二階であることを知った。関東大震災で崩れその後取り壊された十二階建ての凌雲閣だ。近代高層建築の先駆けで、浅草のシンボル、日本初のエレベーターが設置されたことでも有名だ。その凌雲閣が来夏復活するという。浅草六区のほぼ同じ所に同じ高さのものを建てるとのこと。凌雲閣とは「雲を凌ぐほど高い」という意味で名付けられたが、今時12階建てビルは高層ビルとは言い難い。高さだけでいうとその名はチグハグだが、外観は明治当時を再現するらしい。90歳以下の人は誰も見たことが無い十二階は、きっと誰の目にも荘厳な超高層建築に見えるに違いない。またまた浅草に名所が増えそうだ。