今治、松山vs尾道

広島空港から松山までの140Kmをドライブしてきた。道はガラガラで快適なドライブだった。2泊3日の旅だったが、天気に恵まれ、晴れて風もなく、敢えて言えば少し暑かったくらいだ。特に瀬戸内海は油を流したような波のない海に大小の多くの島が浮かんでいて、まるで水彩画を見ているような美しさだった。瀬戸内海には約3千の島があるらしい。一度くらいは誰もいない小さな島で釣り三昧に耽ってみたいとも思ってみた。大きな街としては、尾道、今治そして松山を訪ねた。行く前の予想は、尾道は文学者も多く風光明媚で趣のある街だと思っていた。そして今治と松山は四国の悪いイメージが強く、過疎化が進んで取り残された活気のない街だと思っていた。ところが想像は見事に裏切られた。今治はタオルだけでなく造船業も盛んで街としての活気があった。松山は昔の子規と漱石に縋っているだけでなく、街中が俳句と坊っちゃんに力を入れて新境地を開きつつあり、海外にもしっかり発信し外人をも取り込もうとしている。まさに街全体として街を盛り上げる努力をしていることが肌で感じられた。もう間違いなく今治と松山は「自前で食っていける街」になりそうだ。一方尾道には問題が多い。文人の住処と寺という過去の遺産がある、ということだけに頼って新しい価値を産み出す努力をしていない。敢えて言えば、尾道ラーメンやテッパンはある。だがそれだけでは街は成りゆかない。過去の遺産があります、と言うだけでは人は集まらない。人を集めよう、街を発展させようという真摯な努力が、人の心を捕えて求心力を作るのだと思う。尾道市長と市民は重要な任務を担っている。