シリア国民の悲劇

シリア内戦で隣国に逃れた難民は100万人を超し、イスラエルが首都ダマスカス近郊を空爆し、遂に禁断のサリンも使われた。これまでオバマ大統領はシリア政府軍に「化学兵器使用がレッドラインだ」と言ってきた。しかし、化学兵器使用の確証がないとの理由で、世界の警察として米国が動く気配は未だにない。米国の第43代大統領ブッシュは、イラクに大量殺戮兵器がないのにあるとして爆撃したのに、第44代大統領オバマは現実にレッドラインを超えたのに何もしない。何故なのだろう。イラクは石油大国だ。フセインは石油の決済通貨をドルからユーロに替えた。そしてイラク戦争終結後決済通貨はドルに戻った。米国は多くの犠牲を払ったが目的は達成したようだ。一方シリアにはこれといった資源がない。犠牲を払う見返りがない。オバマはイスラエルとの近所付き合いの度合いをはかって逡巡しているのだろう。世界の警察は人道問題だけでは動かない。悲しいことにそれが世界の常識というものなのかもしれない。