日本柔道復活の道

日本の柔道界が崩壊しそうだ。そんなことを実感させるニュースがあった。柔道全日本選手権で、すでに引退を決めろくに練習もしていない選手が重量級で優勝した。ロンドン五輪で2回戦敗退の穴井選手だ。試合前に本人は「練習もしていないので、自分が勝つようでは問題だ」と言っていたらしい。それが現実になった。もう既に深刻のレベルを通り過ぎてしまっているようだ。今の日本柔道界は滅茶苦茶だ。会長しかり、理事しかり、強化部長しかり、監督しかり。社会人としても救いようがない。これまでの日本柔道界は、手段を選ばず「勝つ」ということだけを強引にトップダウンで押し進めてきた。と言うよりは選手や監督を脅迫してきた。人間は恐怖を感じると委縮するかまたは反対に反逆する。選手は委縮してロンドン五輪惨敗という結果を残し、監督は方向を間違えた反逆をしてパワハラに奔ってしまったのだろう。だが、光明もありそうだ。穴井は「勝たなければ、という余計な思いを取り払って戦いたかった」とも言っている。この言葉に日本柔道復活への糸口がありそうな気がする。元々「勝つ」ということは結果だ。「勝つ」ためには「勝つ」ことを考えながら戦うことではない。無心になり全力を発揮した結果として、勝ちがあり負けがある。結果よりもプロセスを追うことが日本柔道復活の道に繋がるかもしれないと少し思った。