虫の命だけが輝く万博会場

工事遅延やガス爆発などすったもんだの末、4月に大阪万博が開幕した。でも目下、世間を騒がせているのは世界各国が出展した壮麗なパビリオンではなく、大量に発生した虫だ。5月上旬以降、大屋根リングの上で空を覆いつくす黒い大群から、身をかがめて逃げまどう来場者たちを毎日のように見掛けるようになったという。大量発生している虫は、蚊と似た外見をしているハエの一種であるシオユスリカ。人を刺すことはないが、大量の虫に囲まれて気分がいいはずはない。夢州は、生物多様性ホットスポットのAランクに指定するほど、優れた自然のある場所で特に渡り鳥の日本有数の渡来地になっていた。鳥の餌となる大量のユスリカが毎年発生していたからだ。その夢州に万博会場を設置したものだから、鳥が来なくなり、大量のユスリカが居残ってしまったという訳だ。公益社団法人の大阪自然環境保全協会「ネイチャーおおさか」は、3年前からユスリカの大量発生などについて、警告していたが、聞き入れられなかったとのこと。万博のテーマは「いのちかがやく」なのに、結局虫の命だけが輝く会場になってしまった。トホホ。