嗚呼、カーボンナノチューブ

日本発の先端技術材料であるカーボンナノチューブが、昨年EUで発がん性に近い物質と認定され、事実上禁止処分となった。規制案のベースとなった論文は、14年に発売を中止した毒性が強いカーボンナノチューブの実験データを採用していた。日本の関係者は、科学的根拠に欠けた規制だったので、すぐに撤回されると考えたことが甘かった結果となった。カーボンナノチューブとは、鋼の20倍の強度を持ち、銅の10倍の高熱伝導性を有し、シリコンの10倍の電子移動度を持ち、重さはアルミの半分で、バッテリー、半導体、複合材料など、様々な分野で利用が期待されている。カーボンナノチューブの生みの親である飯島名城大教授は「科学というよりは感情論。悪者というレッテルを貼られてしまった」と嘆いている。しかし、6年前からEUがカーボンナノチューブの規制を準備しているという話はあったのだ。でも、日本の誰も欧州でのロビイングに動こうとしなかったのだ。もし、真面目にロビイングをしていれば、このような事態に陥る事は無かったかもしれない。スポーツ界でも、日本が秀でるとルールが変更されるのは常だ。正論で迫るロビイングは絶対必要だ。