国連の世界知的所有権機関が公表した日本の2023年の技術革新指数は世界13位だ。「創造的な成果」などの項目で低得点が目立つ結果となっている。何故日本の研究開発はさえない状況が続いているのであろうか。文科省の人材委員会という有識者会議が日本の研究力の現状と課題、今後の展望を「シン・ニッポンイノベーション人材戦略」として取り纏めている。それによると、国は技術革新に豊富な資金を投入しているが、設備投資が中心で人材の育成には重点が置かれていないと指摘している。修士課程と博士課程の実情を分析しているが、要は大方が研究の場から離れてしまい「宝の持ち腐れ」状態になっているからだとも言っている。人材委員会は、解決策として優秀な人材に海外で研究を積んでもらい、その後で日本に戻ってきて日本の研究の質を高めたいと考えているようだ。しかし、日本の質が悪い状況下で優秀な人材が日本に戻るはずがない。全く机上の空論に過ぎない。日本では国が率先して優秀な科学者らの職を奪っているのが現実だ。理化学研究所では多くの科学者がクビを切られている。単純に理化学研究所の科学者らを優遇すれば、自ずから博士課程に進む学生は多くなるはず。文科省の有識者会議ほど、道を見誤らせるものはない。
コメントをお書きください