台湾と日本の危機管理意識の違い

台湾の花蓮沖を震源とする強い地震の発生から1週間が過ぎた。太魯閣国立公園では土砂崩れで道路が遮断され700人がホテルに取り残された。しかし、3日後には孤立状態が解消された。テレビに大写しされた花蓮市の傾斜したビルの解体工事は地震当日に始まった。余震で完全に倒壊し新たな犠牲者が出るのを防ぐためだ。2009年に施行された法律で、地震や台風で被災した建物を専門家が個別に調査し、倒壊リスクの程度によって赤や黄色に分類。赤と判定されれば所有者の同意なく当局が撤去できるようになったからだ。避難所の運営も順調で寄付された食料や生活必需品が素早く届いた。驚いたのは、体育館などの緊急避難所だ。直後に小さなテントが設置されプライバシーが守られるだけでなく、暖かい食事も提供された。更に、驚くべきことは、1週間後にはその緊急避難所がもぬけの殻になったのだ。緊急避難所はあくまでも緊急時という考えが徹底されており、避難者は早々に居心地の良い2次避難所に移ったからだ。台湾では1999年の中部地震で2400人以上の死者を出した。その経験が生かされているのだ。翻って日本を見ると、阪神大震災で6千人以上、東日本大震災では2万人の犠牲者を出したのに、能登地震では、東日本大震災と同じ光景が繰り返されている。誰かがサボっているからだ。