一生を賭けてトライする究極の研究テーマ

マイクロ波により鉄鉱石から鉄に還元したとのニュース。自分の修士論文は「マイクロ波分光による分子構造解析」だったから「マイクロ波」に目が留まった。マイクロ波により鉄鉱石から鉄に還元したのはマイクロ波化学という会社だ。どんな会社か調べてみた。この会社の野望は遠大だ。化学産業で使われるエネルギー源を、すべてマイクロ波に置き換えられれば、エネルギーの使用量を3分の1にし、化学工場などの用地面積を5分の1に縮小出来るはずだという。500兆円という巨大な化学産業の市場を大きく変えたいという。同時に、CO2の排出量も大幅に削減出来るという。日本の製造業全体のエネルギー消費の約4割は、化学産業で使われている。その中で大量のエネルギーが消費されているのが、反応、分解、蒸留、乾燥などの加熱を伴う操作だ。でも、マイクロ波を用いると誘電体に直接エネルギーを伝えることが出来るため高温熱源が不要になる。その一例が、鉄鉱石をマイクロ波で直接鉄に還元する技術を開発したということだ。まさにイノベーション。自分は会社に入ってから「電磁波による化学反応」を生涯のテーマと考えていた。実際はマイクロ波ではなく、紫外線が多かった。でも、もし自分が若ければマイクロ波化学に入社したい。化学産業を根底から変える技術開発こそ、一生を賭けてトライする究極の研究テーマだと思うからだ。