科学心をくすぐるイグノーベル賞

また日本人がイグノーベル賞を受賞した。17年連続の快挙だ。微弱な電気を舌に流すと味覚が変化するという研究だ。舌に電気を流すと金属っぽい味がすることは知られていた。ただ、食べ物と結びつけた研究はなされていなかった。味がぎゅっとしたり、塩味が濃くなったりするという。イグノーベル賞とは「人々を笑わせ考えさせた研究」に与えられる賞だ。ノーベル賞のパロディーとしてマーク・エイブラハムズが1991年に創設した。イグノーベルIg Nobelとは、ノーベル賞の創設者ノーベルNobelに、否定を表す接頭辞的にIgを加え、英語の形容詞ignoble(恥ずべき、不名誉な、不誠実な)にかけた造語だ。マーク・エイブラハムズはユーモア系科学雑誌の編集長で、廃刊の憂き目に遭いながらサイエンス・ユーモア雑誌「風変わりな研究の年報」を発刊する際にイグノーベル賞を創設したとのこと。面白いが埋もれた研究業績を広め、並外れたものや想像力を称賛し、科学、機械、テクノロジーへの関心を刺激するために始めたという。選考対象は5,000を超える業績で、書類選考はノーベル賞受賞者を含むハーバード大学やマサチューセッツ工科大学の教授ら複数の選考委員会の審査を経て行われるというから、やっつけ仕事ではない。まさにイグノーベル賞は科学心をくすぐっている。