黄色あれこれ

昔、血液型による性格占いが流行っていた頃、好きな色で血液型が分かるという問いがあった。自分は黄色が好きだった。本にはAB型は黄色が好きとある。当時自分の血液型を知らなかったが、調べてみるとAB型。感心したものだ。中国の古代哲学である五行思想では、天下の万物は、木・火・土・金・水の5つから成っていると説いている。木(東・春・青)、火(南・夏・赤)、金(西・秋・白)、水(北・冬・黒)という全方位・全季節・全色を束ねる中心に存在するのが土(中央・黄)だ。中国大陸の土は黄土。そのため、最高統治者は、黄帝=皇帝となり、黄色い長衣を着て政務を司った。こうした黄色崇拝で、北京の紫禁城の屋根瓦まで全て黄色に統一されたのだ。ところが、毛沢東時代に聖なる色は紅に変わった。かつて聖なる色だった黄色は、悪の色に貶められてしまった。英語のイエローは低俗を意味する。中国の黄色はそれを超え、腐敗や堕落、エロを指すものとなった。2014年習近平は突如「掃黄打非キャンペーン」をうった。掃黄とはエロを一掃することで、打非は非合法のものに打撃を与えるという意味だ。しかし、中国には殷の紂王の時代から酒池肉林の逸話があり、白居易が唐代を詠んだ長恨歌にも、後宮の美女三千人とある。2014年から10年も経ったが掃黄打非は未だに続いているという。抑えれば抑えるほど黄色は地下に潜って延命する。歴史には抗えそうもない。