世界は繋がっている方が良い

世界ではいま、日本文学が注目されている。特に英国では、翻訳された海外小説の売り上げが急速に伸びていて、その販売数の4分の1を日本の小説が占めるという。そのほぼ半分を購入したのは、35歳以下の読者だったとのこと。2016年以降毎年授与されるようになったブッカー国際賞の影響が大きいという。人気の対象は川端、三島、谷崎などの大御所ではない。新進気鋭の女流作家なのだ。村田沙耶香の「コンビニ人間」、川上未映子の「夏物語」などに人気があるという。若い読者には、静かでドラマチックではなく、ベールに包まれていて、ミステリーのような面もあるのが魅力的に映るようだ。自国の文化以外のものを読むことは、自分の世界観と異なるものに触れることになり、読書とは発見そのもののようだ。正反対のものを読むことによって、世界中の人々と繋がれる感覚が得られることになり、喜びを感じているらしい。そこでピーンときた。英国の若者が外国との繋がりを大切にしようとすることは、繋がりが無いと感じているからだ。そうだ。あのブレグジットだ。英国が欧州から脱退したブレグジットこそが、若者を外国へと駆り立てているのだ。その一例が日本文学人気なのだ。やはり世界は繋がっている方が良い。