ナマ演奏からカラオケに

九州に単身赴任した時の休日の楽しみは、サイクリングとNHKのど自慢を観ることだった。九州南国は風光明媚だ。人影も疎らで、車も少ない。自転車を快適に走らせ、のどかな風景を満喫したものだ。日曜の単身赴任寮はひっそりとしている。昼下がりに観るNHKのど自慢は、心をホッコリとさせた。のど自慢大会ではあるが、決して上手さを競うだけのものではなかった。素人の歌い手が自分の世界に入り込み独唱する姿が面白かった。何で出場したのだろうと思わせるほど下手な人もいた。そんな時、演奏を歌に合わせてくれる思いやりが暖かく何とも言えなかった。そのNHKのど自慢の伴奏が4月にナマからカラオケに替わった。何とも味気ない。視聴者の不評を買っている。変更の理由は、前田前会長体制の制作費削減と若者向け改革の影響とか。のど自慢の制作費は1本約900万円。バンドの費用はうち120万円。制作費削減と言う割には高が知れている。表向きは制作費削減だが、コストカットのポーズであることは見え見えだ。そんな理由で、70年以上続いたNHKのど自慢も終焉を迎えようとしているようだ。