物流業界の2024年問題

かつてデジタル機器にはミレニアム(2000年)問題があった。古い機器は2000年代を想定した仕様になっていないものが多く、2000年1月1日0時に誤作動を起す恐れがあるとされていた。当時自分は工場の責任者だったので、大晦日の夜から元旦の朝にかけて出勤して、工場が正常に動いているかを確認した経験がある。でも、大騒ぎした割には、殆ど問題は生じなかった。いま物流業界には2024年問題があるという。2024年4月からトラック運転手の時間外労働の上限を年960時間とする規制が始まるのだ。規制が始まると、トラック運転時間が減少し、減収のため運転手も減り、2030年には全国の輸送力が35%落ちるという試算もある。生鮮スーパーは品揃えもままならなくなる。買い手は新鮮な品物を手に入れにくくなる。産地にとっても長距離の配送は困難になり、新たな販路を開拓する必要が出て来る。2024年問題に対処するには、トラック運転の効率化や、物流作業の効率化や、鉄道輸送や、鮮度の維持方法の改善等々、総合的な取り組みが必要だ。トラック業界だけで解決出来るものではない。これこそ国の出番だ。首相が陣頭指揮に当たって、実務能力を証明するチャンスではあるのだが。