自衛隊の劣化に打ち手無し

自衛隊の劣化が甚だしい。防衛予算は倍増したが、人材増強が伴わない。組織自体が頭でっかちになっている。管理職ばかりが増えて、肝心の実践部隊は常に人的貧血状態に有る。予算が増えても防衛力は上がらないのが実態だ。それに輪を掛けているのが防衛大学校の劣化だ。等松防衛大教授が「危機に瀕する防衛大学校の教育」を公表し、警鐘を鳴らしている。防大を卒業した学生は、自衛官に任官し、さらに陸海空の各幹部候補生学校で学んで部隊に配属される。昨年は卒業生479人のうち72人が任官せずに自衛隊を去った。そればかりでは無い。新入生488人のうち、1年以内に約20%、100人近くが退学してしまったのだ。2、3年生でも退学する者もいるし、幹部候補生学校で退学する者もいる。理由は大別して2つ。1つは、学生舎の問題。学生舎で1~4年生の8人が1部屋で暮らし、上級生が下級生の生活を指導する。しかも、下級生は上級生に無条件で従うという慣習がある。上級生の質次第で学生舎は地獄と化す。もう1つは、教育の質。防大は「日本で唯一防衛学を学べる学校」であると強調しているが、教官の質が低く学生の期待に応えられていない。教官の殆どは自衛隊のローテーション人事で制服自衛官が務めている。自衛隊では一線部隊が花形で、教育関係は二流という意識が有る。元々制服自衛官に教員としての資質が有る訳ではない。だから、代々受け継がれてきたマニュアル本に沿って授業をする。学生は幻滅して退学してしまうのは当然となる。更に教官の人事権は自衛隊の幕僚監部が握っていて、学長には無いのが不適格な教官を受け入れる温床になっている。折角等松教授が内部告発したのに、久保校長は等松教授に反論している。もはや自衛隊の劣化に打ち手無し。