入管難民法の運用の見直しを

入管難民法改正案の採決が行われた参院法務委員会で、山本太郎れいわ新撰組代表が採決を阻止しようとして自民党議員2名にケガを負わせた。問題視した自公立民5党が懲罰動議を提出。ところが、参院議院運営委員会は理事懇談会で、懲罰を審議しない方針を決めた。石井議運委員長は、懲罰を審議しない理由として山本氏から反省の言葉があったとした。だが、山本本人は「楽しみにしていますとはいったが、反省しているとは一言も言っていない」と言っている。反省していないのに5党の懲罰動議を退けたのだ。まことに参院の不思議な出来事だ。国会では全てが万事このように物事が進んでいるようだ。でも、これは些細な出来事だ。問題は入管難民法そのものにある。日本が難民条約を批准したのは1981年。もう40年が過ぎた。だが、難民認定者は極めて少ない。2019年のドイツの年間難民認定者は5万人超だが、日本はたったの44人。実態は難民を拒絶しているのだ。難民の認定方法は難しい。着の身着のままで逃げてきたのだから、難民を証明するものなど持っているはずがない。ドイツの認定者が多いのは、難民条約の規定に合いそうな場合は認定することにしているからだ。一方日本は厳格な審査をして僅かでも規定を満たさなければ認定しないことにしている。一昔前の国民は難民受け入れに難色を示していたが、今では受け入れに前向きに変わった。入管難民法の精神や運用そのものを見直すことが必要だ。