「笑点」はどこまで続くのか

テレビの長寿番組と言えば日テレの「笑点」だ。1966年に始まり57年目を迎えるという。1965年から始まった「金曜寄席」が前身で、当時のヒットドラマだった「氷点」をもじって「笑点」と名付けたとのこと。初代司会者は立川談志で、二代目が前田武彦で三代目が三波伸介。四代目が5代目三遊亭圓楽で、五代目が桂歌丸。そして六代目は6代目三遊亭圓楽と思われたが、春風亭昇太が昇格した。思い起こすと、初代から全ての司会者の時代の記憶が残っている。それほど長く自分は視聴してきたのだ。1966年と言えば、自分が大学2年生の時だ。その自分は現在76歳。「笑点」は、まさに自分と共に時代を過ごしてきたのだと感慨深い。人間は思ったほど成長するものではない。自分を振り返って、そう思う。では「笑点」は、どうなのだろう。少なくとも、圓楽の時代までは、真打ちが落語の真髄を伝えていたような気がする。でも、歌丸に続き昇太の時代に、真打ちの価値が損なわれたように感じる。大切りの真打ちが劣化している。真打ちも酷いが昇太も酷い。もはや「笑点これまで」と思っていた。ところが、圓楽の穴を埋めるために春風亭一之輔なる者が現れた。故・小三治師匠が「久々の本物。天与の才がある」と称した落語家だ。「笑うだけが落語じゃねえ」と場内の静寂をも支配するという。ヘラヘラではなく無言を押し通す凄みがある。ひょっとすると、笑点は生まれ変わり、更なる長寿を目指すことになるかもしれない。