ゲノム畏るべし

米欧のバイオ企業が、ゲノム編集による血液の難病の治療法を米食品医薬品局FDAなどに承認申請した。ゲノム編集による医療の実用化は世界初で、年内にも承認される可能性があるとのこと。米国のバーテックス社とスイスのクリスパー・セラピューティクス社は、ゲノム編集技術を使い、血液の難病の鎌状赤血球症とβサラセミアの治療方法を共同開発した。世界の年間の新規患者数は鎌状赤血球症で約30万人、βサラセミアは約6万人とされる。いずれも血液の元となる造血幹細胞の遺伝子異常で正常な赤血球が作れず、重度の貧血や血管の詰まりなどを起こす。新たな治療法は、患者自身の造血幹細胞を体内から取り出し、ゲノム編集で特定の遺伝子を改変。正常な赤血球を作れるようにした後、患者の体内に戻す。ゲノム編集は、農林水産物の品種改良や創薬など活用例が拡大している。因みに日本では、肉厚にしたマダイの開発など、食品分野での実用化が進んでいる。欧米や中国では白血病やがんなどの治療法の研究が進捗している。ゲノム畏るべし。