地に落ちた原子力規制委員会

原子力規制委員会が老朽化原発の60年超の運転延長を決議した。経緯はこうだ。2月8日原子力規制委員会は臨時会を開き、岸田首相が強引に進めている「老朽化原発の60年超の運転延長」や「原発新設」などに向けた改正案について審議した。だが、委員5人のうち1人が反対したため決議は先送りされた。原子力規制委員会の決議は、全員賛成が原則だからだ。ところが、岸田内閣は10日に「老朽化原発の60年超の運転延長」や「原発新設」などを盛り込んだGX実現に向けた基本方針を閣議決定した。これを受け原子力規制委員会は13日に再度臨時会を開き、反対1人のまま多数決で強引に決定したのだ。しかし、原子力規制委員会は現行の原発が安全に運用されているかをチェックする機関であって、間違っても原発の運転期間を決定する組織ではない。要するに岸田は原子力規制委員会のお墨付きを取り付けて法案を通り易くする魂胆なのだ。結局、原子力規制委員会は福島原発事故当時お飾りであった原子力保安庁と変わらないのだ。原子力の安全管理について、全く機能していない。記憶を残すため、5人の名前をあげておく。委員長は核燃料の安全性を研究している山中阪大教授。委員は核燃料サイクルや放射性廃棄物の研究をしている田中東大教授、日本原子力研究開発機構・安全研究センターの杉山副センター長、旧動力炉・核燃料開発事業団に所属する伴東京医療保健大学の教授など原子力村の面々。そして唯一反対したのが日本地質学会の石渡会長だ。早期の人事刷新が望まれる。