小さいが根が深い出来事

茨城県行方市の羽生消防団の団員22人全員が退団したとのニュース。現在、羽生消防団員は1人もおらず、担当地区で出動が必要になった場合は周辺の消防団がカバーする状態となっているという。地域の防災能力が低下しているのだ。事の発端は消防操法大会の競技順を巡るトラブルとのこと。大会は抽選で競技順を決めるが、羽生消防団は6月の抽選で5番目となった。ところが、その後27番目の消防団と順番が入れ替えられた。分団長は順番変更の理由を、春の新人訓練で羽生消防団が穴の開いたホースで参加していたから、注意喚起の意味で順番を変えたと説明したという。ところが、羽生消防団は納得しなかった。羽生消防団は満足な説明が無いとして、全員が退団した。これ自体は些細な出来事だと思う。分団長ではなく団長辺りが丁寧に説明していれば、退団事件は起きなかったかもしれない。だが、それ以上に問題なのは、日本の防災が消防団に頼り過ぎていることだと思う。消防団とは、それを専業とする公務員の集まりではない。消防団員は本業を別に持つ一般市民で構成されているのだ。本業をしながら、地域を守るため奉仕の精神で消防活動をしているのだ。僅かな報酬が支給される場合もあるが、支給されない場合もある。まさに、奉仕活動なのだ。そういう志の高い団員が全員で退団するのは、社会の仕組み自体の問題なのだ。表面的には小さなニュースだが、非常に根が深いニュースと言える。