将棋の決着は盤上で

将棋名人戦A級順位戦で佐藤天彦九段がマスク不着用で反則負けしたとのニュース。マスクの着用義務違反で反則負けとなるのは初めてのこと。永瀬拓矢王座戦での出来事。この対局は午前10時に始まり、終盤を迎えた午後11時ごろ。佐藤九段は112手目を指した後にマスクを片耳に掛けて考え始め、外したまま対局を続けた。30分ほどたったところで、永瀬王座が「反則負けではないか」と関係者に指摘。連絡を受けた同連盟が協議した結果、午前0時過ぎ、反則負けに決まったという。確かに日本将棋連盟が今年1月に定めた臨時対局規定には、対局中は一時的な場合を除き、マスク(原則として不織布)を着用しなければならず、違反した場合反則負けとするとある。規定を厳格に適用すれば、反則負けになるのは間違いない。しかし、違和感を覚える。12時間以上も対戦している時だ。しかも終盤で最も盤上に集中している時だ。佐藤九段はマスクの片耳を外していたことを忘れてしまったのだろう。決して故意では無かろう。常識のある相手や立会人であれば、まずは注意を促すだろう。それを、いきなり反則負けだと言い出す対戦相手も対戦相手だと思う。せめて、将棋の決着は盤上でしてほしかった。永瀬の人柄に対し残念。