中国とIOCと国連

北京五輪が始まった。聖火リレーの最終走者はウイグル族の女性スキー選手だった。西側諸国は政治利用だと批難したが、IOC広報担当責任者は「彼女は大会に参加しているアスリートだ。出身や生い立ちにかかわらず、開会式に参加するすべての権限を持っている。すてきな瞬間だった」と中国を擁護した。またバッハIOC会長は、性的暴行をSNSで告発したテニス選手と会話した。テニス選手は否定したが、肝心の映像はテストパターンに変わってしまった。益々真実は分からなくなりつつある。それをIOCが手伝っているように映る。一方、グレテス国連事務総長も北京入りしたが、習国家主席と会談し国連人権高等弁務官による新疆ウイグル自治区への「実のある訪問」を中国当局が認めることを要望した。これに対し中国は、調査ではなく友好的訪問を求めたが、グレテスは活動に制約を課さないよう中国側にくぎを刺したという。IOCと国連の対比が天と地ほどに鮮やかだ。