元祖モグラ叩き

原油価格が高騰し、政府が国家の備蓄石油を史上初めて放出すると発表した。上がっているガソリン価格を冷やすために岸田政権が先手を打った政策かと思ったが、そうでもないようだ。バイデン大統領が、日本や中国、インドなど主な消費国と協調して石油備蓄を放出することを表明した。米国が放出するから日本も放出しろという圧力が掛かったようだ。理由は分かった。では、その効果はどうなのだろうか。放出量は2~3日分という。焼け石に水だから、経済効果は全く望めない。因みに、日本の石油備蓄は国が所有する国家備蓄と民間備蓄がある。国家備蓄は国内需要の約90日分以上を貯蔵し、民間備蓄は70日分以上と定めている。いま国家備蓄は145日分ある。その余剰分を放出するとみられてる。要するに国家備蓄石油の放出は田舎芝居なのだ。そう言えば、政府はガソリン価格が170円を超えた分は、石油元売りに対し最大5円の範囲で補填し小売価格の上昇を抑制するとも発表した。物価上昇を抑えることは大事だが、政府のやることは「モグラ叩き」に似ている。いや、似ているのではない。これこそが「元祖モグラ叩き」なのだと思う。