ネオニコ系農薬と温暖化

ネオニコチノイド系農薬が、日本の農業のこれからの在り方を再び問いかけている。30年前頃ミツバチの大量死が問題になった。ネオニコが問題視されたが、この時には因果関係は立証されなかった。ところが今は、実は魚や鳥やヒトにも影響を与える可能性があるとの懸念が浮上している。30年前から宍道湖ではワカサギやウナギが捕れなくなった。ネオニコが湖に流れ込んだことで、ワカサギの餌である動物性プランクトンが激減したからだ。ウナギも餌である節足動物が減ってしまったためだ。10年前再びミツバチの大量失踪が問題になったが、ネオニコが低い濃度でも帰巣能力を阻害すると結論付けられている。ネオニコは人体には無害だと言われ続けてきたが、ヒトの脳にも影響を及ぼすことが明らかになっている。事実、使用量の多い韓国や日本では広汎性発達障害や自閉症の有病率と相関関係がみられるという。一方、地中海ではイワシが小さくなり、かつ少なくなったため事業としてのイワシ漁は成り立たなくなったとのこと。不漁の原因はプランクトンの減少だ。でも、EUではその原因は温暖化だと言っている。「温暖化」には反対する実体とした敵がいない。「ネオニコ系農薬」には実体の敵がいる。敵がいない問題を責めるのは気楽だ。でも実体の敵と戦うと血が流れることもある。温暖化と糾弾する前に、まずは実体のある敵と戦うことこそ第一歩だと思うのだが。