目玉政策が消失した自民公約

岸田が総裁選で掲げた目玉政策である「令和版所得倍増計画」「金融所得課税の強化」「健康危機管理庁」が、尽く自民党公約から消えている。あの総裁選は一体何だったのだろうかと思う。政権公約は、総裁選で岸田支持を固めた甘利幹事長と、安倍の全面支援を受けた高市政調会長のカラーが鮮明だ。そこに岸田カラーは無い。岸田の得意は「聞く力」と言われているが、聞く相手はそこではないだろうと思う。岸田の言葉は借り物ばかりと揶揄されている。「車座対話」は野党時代の谷垣総裁のパクリ。「信頼と共感」は昨年の総裁選で争った石破元幹事長が掲げていた「納得と共感」と酷似。「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」という諺も、ノーベル平和賞を受賞した米国のアル・ゴア元副大統領が受賞時に引用した諺だ。岸田は「全てはこの手帳に書いてある」と言っていた。でも書いてあるのは他人の言葉だけで、恐らく己の考えは書かなかったのかもしれない。いや、己独自の考え方が無かったので、書きようが無かったと見るべきだろう。「聞く力」だけでは首相は務まらない。