重症患者は減ってはいない

東京都のコロナ感染者数が遂に4千人の大台を超えた。自宅療養者も初めて1万人を超えた。重症患者は昨日より7人増えて95人となり、重症患者用の病床使用率は24%となった。感染者数の増加に較べ重症患者は増えていない。菅首相はワクチンの効果だと自慢している。だが、高齢者の重症者が減っているからといって、その事実を軽く捉えてはいけないと国立国際医療研究センターの大曲国際感染症センター長が語っている。この1年半で治療法が変化した。人工呼吸器ではなく鼻から酸素を送り込む「ネーザルハイフロー」という呼吸療法を使うケースが増えた。これを使う人は、重症者にカウントされないが、酸素が足りずに身動きもとれない状況にある。重症者と同じように苦しんでいる人が、重症者の何倍も存在するのだと言う。ネーザルハイフローは、鼻から高流量の酸素を流す。加温加湿するので高流量にもかかわらず鼻が痛くならないし、マスクを使用しないため、飲食やコミュニケーションが可能になるメリットがあるという。重症患者状況を的確に判断するためには、技術の進歩に合わせ、ネーザルハイフローも重症患者扱いにする必要がある。政府には「デルタ株は感染力は高いが軽症だ」という誤った認識を正す責務がある。