現代版:官僚たちの夏

東芝と経産省が結託し、外資ファンドの議決権行使に圧力を掛けたとする報告書が公表された。126頁にも及ぶ報告書を読んでみた。極めて詳細なやり取りが書かれており、まるで高度成長期の旧通産官僚を描いた小説「官僚たちの夏」そのもの。時代遅れも甚だしい。東芝が大企業だけに経産省が相談に乗るのは理解出来るが、議決権に圧力を掛けるのは明らかにやり過ぎで、今後海外投資家からの非難・提訴は避けられない。85頁に菅官房長官が登場する。昨年の株主総会の4日前の7月27日の菅の朝食会で加茂常務が菅に相談・報告する。すると菅は「強引にやれば外為で捕まえられるんだろ?」と言い了承するシーンも出てくる。まさに経産省だけでなく官邸が、企業統治や産業政策を歪めているのだ。東芝側の首謀者は、車谷社長、豊原副社長、加茂常務で、政府側は菅前官房長官と梶山経産相。彼等の責任は免れない。菅首相は五輪やコロナどころではなくなった。