ギリシャ文字に変更するWHOの愚案

WHOが新型コロナウイルス変異株の名称を、国名ではなくギリシャ文字を当てると発表した。イギリス型はアルファ、南アフリカ型はベータ、ブラジル型はガンマ、インド型はデルタという具合。その国の人々がいわれのない差別や中傷の対象となるのを避けることが狙いだというが、何か変だ。問題は2つある。1つは、変異株に限っていること。新型コロナウイルスの名称を変えるのならば、発祥元の中国型も入れるべきで、中国型をアルファとして、後は変異順に名付ければ良い。今回の改名案は如何にも中国隠しに映る。もう1つは、ギリシャ文字では科学的表現が曖昧になること。どのような変異をしているかを表す方が科学的だ。例えば、イギリス型はウイルスのタンパク質の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)に変わったからN501Yと表現する。ブラジル型はE484Kだ。イメージ的にも、アルファがベータに置き換わりつつある、と言うよりも、イギリス型が南アフリカ型に置き換わりつつあると表現した方が地理的な関係が理解し易い。どうも新型コロナウイルスに関しては、パンデミック宣言の遅れから始まり、WHOが防疫活動をディスターブしているように思えてならない。