当たり前ではない今の日本

IOCコーツ委員長が「東京五輪は必ず開催される。人々が協力し合うことで感染症の世界的な流行に人類が打ち勝ったことを示す大会となるだろう」と述べ、大会の予定どおりの開催を断言したという。世界中がコロナ変異株による第4波に曝されれているこの時に、世界一浮ついた言葉と言える。困ったことに、政府と五輪関係者が悪乗りしている。大阪では、聖火リレーが粛々と行なわれている。変異株による感染拡大で過去最多を記録し、マンボーでは歯止めが利かず、緊急事態宣言を要求している状況だというのに。万博跡地で観客も入れずにランナーが走っているという。感染過去最多と聖火リレーの対比は、誠に間が抜けている。漫画の世界だ。数年後のパリ大会では、東京の頓馬な映像が流されるに違いない。でも真っ当な判断を下す自治体もある。四国の松山市だ。聖火リレーを中止したという。英紙ガーディアンは、五輪強行に対し、日本とIOCに自問を促す記事を載せた。良識があると思う。いや、良識などという高等な判断では無く、極当たり前の意見だと思う。当たり前ではないのが今の日本だ。