モグラ叩きの政策

総務省がNHKに対し、積み立てた剰余金を受信料の値下げに充てることを恒久的に義務付ける仕組みを制度化するという。肥大化するNHKに対し一定の歯止めになるとは思うが、何か釈然としない。スマホ料金やNHK視聴料の値下げは、菅政権の即効的な目玉政策で、国民受けも良く、それはそれで良いと思う。釈然としない理由は、その制度の目的や効果が曖昧だからだと思う。剰余金とは、使った後に余ったお金だ。その余ったお金を視聴者に翌年の値下げで還元するというもの。でも、もしNHKが予算を肥大化し剰余金を出さないような政策を採ったら、値下げは無く限りなく肥大化することになる。一方で、NHKは一応公共放送で放送の新技術開発も担っている。新技術を開発するには、資金が必要だ。剰余金を絞り過ぎると技術の遅れをきたすことになる。表から見ても裏から見ても、剰余金に焦点を当てることは得策ではなさそうだ。でも、答えは極めて簡単だ。NHKは公共放送だと誰でも言うが、現在のNHKは公共放送の定義付けがなされていないのが現状で、それぞれが自分勝手な解釈をするから野放し状態になっている。まず、公共放送とは何か、どこの範囲まで担うのか、を明確にすべきだ。こう考えると、菅の政策は単なるモグラ叩きに見えてくる。