将来の安心感が得られれば

先月「社会病理学の権威 」で、安全とは危険を取り去ることで、安心とは幻のようなもので実在しないと書いた。でも、安心だからこそ達成出来るものもある。菅政権が掲げた政策に少子化対策があった。その目玉となったのが不妊治療の保険適用だ。それも大事かもしれないが、少子化対策としては余りにも対象が矮小過ぎる。少子化対策の骨にはなってはいず、アドバルーンとしか見做すことが出来ない。日本にとって少子化対策は喫緊の課題であることは間違いない。でも今更少子化を食い止める方法は無い。だが、大幅に遅らせる魔法の方法は存在する。それが、ハンガリーのトランプと呼ばれているヴィクトル首相の少子化対策だ。ヴィクトル首相をハンガリーのトランプと呼ぶとイメージが悪いが、コンピューター付きブルドーザーと呼ばれた田中角栄と言えば、察しがつく。ヴィクトル首相は難民受け入れを拒否したが、ハンガリー人を増やすことには執念を燃やした。ハンガリーはGDP比で日本の6倍もの予算を少子化対策に費やした。その政策は、4人目の子供を産むと定年まで所得税ゼロ、日本は1歳までだが3歳になるまで有給育児休暇、第三子出産で学生ローンは全額免除、結婚奨励金、マイホーム補助金、女学生ローン返済減免、何と体外受精も無料化。その結果、結婚数も出産数も増え、おまけに女性の就職率も向上してたという。もし、日本でヴィクトル首相の政策を真似したらどうなるだろうか。最大の効果は、子を産む家庭の将来の安心感だ。ハンガリーと同様に、少ない歳費で子供も増え女性の地位も向上するに違いない。こういう政策は菅には不可能だが、河野ならば出来そうな気がするのだが。