ダイヤモンド電池

かつては傍流の技術だったベータボルタ電池が、最近になって注目されつつある。技術は未完だが本命とされているのがダイヤモンド電池だ。英ブリストル大学の研究チームが放射性炭素原子C14からなるダイヤモンド電池を試作し実用化実験を開始しているという。電池には、リチウムイオン電池のように化学反応によって電気をつくる化学電池と、放射線の電子を電力に変換するベータボルタ電池がある。前者は高出力短寿命だが、後者は低出力長寿命だ。今までのベータボルタ電池は、半導体素子の間に放射性物質が挟まれた構造になっている。半導体素子と放射性物質の距離で発電効率が変わってくる。ところが、この人工ダイヤモンドはサンドイッチ構造ではなく、放射性炭素原子C14が半導体素子と放射性物質の役割を果たしている。従って、電子の移動距離が極めて短く電力変換効率を最大化しているのが特徴だ。放射性炭素原子C14の半減期は5,730年。宇宙産業や危険箇所での使用が有望視されている。そのうち、電池寿命より本体が先に劣化し、修理が必要となる時代が来るのかもしれない。