第二のクーベルタン

東京五輪の1年延期が決まった。感染状況から見て今夏開催は誰が見ても不可能だ。安倍首相は「完全な形での実施」を主張した。その意に沿ってバッハIOC会長は1年延期を選んだが、正しい選択だったのだろうか。新型コロナウイルス感染の終息時期をどう見ているのだろうか。恐らく今年一杯では終息しないだろう。東京五輪は史上最多の33競技339種目が組まれている。200以上の国の選手が出場し、観客は1千万人とされている。費用の捻出、会場の手配、選手の選考、海外選手の受け入れ、選手の辞退、宿泊施設の手配、入場券の再販、世界選手権大会の延期等々を再計画通りに成し遂げるのは殆ど不可能に近い。本来は中止すべきで、たとえ延期したとしても2年後がギリギリだろう。五輪は余りにも肥大化し過ぎている。ロス五輪以降、五輪は商業化、利権化、巨大化が進み、その裏返しとして五輪誘致をする都市は減る一方だ。今こそ、五輪精神に立ち返り、アマチュアを主体とした脱商業化、脱利権化を目指すべき時だと思う。安倍が賢明であれば、完全な形などと言わずに、規模縮小の先鞭をつけることが出来たのにと残念に思う。それが出来れば、安倍は第二のクーベルタンと言われたに違いない。