ミスリードする論文

DIAMONDonlineのアクセスランキング1位が「全国一律の最低賃金が実現すると地方を滅ぼす理由」だ。著者は塚崎久留米大教授。自民党も厚労省も最低賃金を全国一律にする案を検討し始めたとのニュースがあるから、保守的な立場でその動きを妨害する腹づもりなのだろう。著者は「最低賃金は労働力の需要と供給が一致する均衡賃金にすべき」と主張する。最低賃金が均衡賃金より高ければ失業が生じ、低ければ労働力不足になる。全国一律になれば、地方から企業が逃げ出し、若者も大都市へ移動し、地方が滅んでしまう。だから賃金格差があった方が良い、と言う。この著者の主張は、現状を維持しろと言うだけで、最低賃金の位置づけの観点が欠落している。クソの役にも立たない論文と言える。最低賃金の全国一律化は東京一極集中を解消するための有力な対策だ。全国一律になれば、若者は地方に定着するしUターンも増える。但し、企業はその賃金に見合った生産性の高い仕事を供給する必要が出てくる。でも、この生産性を上げることこそ、少子高齢化によるGDP減少を食い止めるキーになる。DIAMONDonlineは日本の将来をミスリードしようとでも思っているのだろうか。