商業捕鯨の行く末

日本が国際捕鯨取締条約から脱退し、7月1日から商業捕鯨が31年ぶりに再開された。捕鯨業界は喜んでいるが、果たして商業捕鯨は業界にとって追い風になるのだろうか。鯨の消費量は最盛期の50分の1まで落ち込んでいる。戦後に較べ現在は種々の肉が豊富に出回っている。今更主要肉になるはずがない。しかも、調査捕鯨による鯨肉の売れ残り在庫は年々積み上がっている。調査捕鯨は南極海や北太平洋で500頭の捕獲枠が認められていたが、商業捕鯨は領海内と排他的経済水域に限定される。捕獲数量は未知数だ。調査捕鯨には国から年間50億円もの予算があてがわれていた。商業捕鯨になり国の補助も無くなることになる。単価の大幅上昇は必至だ。今より高くて売れるはずがない。もし商業捕鯨による鯨肉が大量に出回れば千葉などの沿岸捕鯨は成り立たなくなり廃業に追い込まれることになる。結局商業捕鯨が経済的にも成り立つ見込みは無く、自らの業界の首を絞めることになる。自分は調査捕鯨と商業捕鯨に反対だ。これまで、このブログに「調査捕鯨は中止へ」「南極の鯨と近海の鯨」「IWC脱退後何が起きるのか」を書いてきた。期せずして商業化が捕鯨にとどめを刺すことになるかもしれないことは興味深い事象だと思う。