人事から見たEUの行方

EUの臨時首脳会議が3日掛かりで次期主要人事案に辿り着いた。主要人事とは、欧州委員長、EU大統領、欧州議会議長、欧州中銀総裁の選出。人事案は欧州議会の承認が必要だが、不透明な面も残るという。4大人事というが、欧州委員長が実質的な権力を持ち、EU大統領はお飾り的な存在だ。メルケルとマクロンが合意したティマーマンス欧州委第1副委員長の欧州委員長人事案には、ハンガリーやチェコなど中東欧4カ国が激しく抵抗し没になった。そこでメルケルとマクロンは密約をして、欧州委員長にドイツ人のフォンデアライエン国防相、欧州中銀総裁にフランス人のラガルドIMF専務理事の案を通した。中東欧は意見が通ったことを喜び、西欧は不満を残したという。他の人事はバランス重視だ。欧州委員長は中道右派、EU大統領は中道リベラル、欧州議会議長は中道左派と、各派の不満を抑える形になっている。相変わらず独仏主導で事は運ぶが、中東欧の抵抗は大きくなり、主要人事も適材適所ではなく派閥均衡型になっている。EUは一枚板とは言えない。寧ろ亀裂が表面化し、いつ裂けるか分からない状況になりつつあるようだ。