司法取引の世界に

米国のテレビ番組の刑事ものをD-lifeでよく観る。「キャッスル/ミステリー作家のNY事件簿」や「Major Crimes ~重大犯罪課」が面白い。この中で、しょっちゅう出て来るのが司法取引。犯罪に関わった者が事件捜査に協力すれば刑を軽くするという制度だ。早急な事件解決の重要なファクターになっている。外国やテレビの中だけの世界かと思っていたが、日本でも今月から「日本版司法取引」が導入され現実化してきた。司法取引には大きく分けて2種類ある。自分の罪を認める代わりに罪を免れたり刑罰を軽くしたりする「自己負罪型」と、他人の事件の捜査や公判に協力する見返りに不起訴や軽い求刑を約束させる「捜査公判協力型」。米国では両方を認めているが、日本の制度は後者のみ認めている。対象となるのは主に経済犯罪と暴力団などの組織犯罪。殺人や性犯罪は対象外だ。刑事裁判の証人に刑事責任を問う証拠にしないことを約束して証言させる「刑事免責制度」も始まった。適用第1号は覚醒剤密輸の裁判員裁判。覚醒剤の入手ルートなど事件の全容解明のため適用したという。いよいよテレビの世界なのか現実なのかが分からない時代になってきた。