香害の思い出

日本消費者連盟が期日限定で「香害110番」を設置するとのこと。消臭スプレーや制汗剤などの人工の臭いで体調不良を訴える人が少なくないからだ。この記事がきっかけで、自分の香害経験を思い出した。子供の頃、国鉄にはチョコレート色の電車が走っていた。床は木製でアスファルト臭の溶剤がしみ込んでいた。バスも同じ床だった。電車やバスに乗ると必ず気持ち悪くなった。中央線にカナリヤ色の新型電車が導入された時、アスファルト臭が無くなり、その快適さを喜んだものだ。大人になり化学会社に就職した。研究所生活が長かったためか、多種多様な溶剤を扱った。溶剤の臭いは苦痛ではなかったが、多くの女性は溶剤臭が苦手であることを知った。嘗ての女性には強烈な臭いの香水を付ける人がいた。傍にいるだけで気持ち悪くなるので、一刻も早く遠ざかることに心掛けたものだ。今から思うと香害の走りだったのだろう。女性は花が好きだが、自分は苦手だ。特にユリの臭いは強烈だ。家には置かぬようカミサンに命じてある。桜の季節に権現堤に行ったことがある。桜並木の隣に菜の花畑が広がっている。ピンクと黄色が綺麗だ。だが、菜の花畑に入った途端に後悔した。あたり一面咽返るほどの悪臭。息が出来ないように感じた。勿論早々に退散した。一面に咲き誇る芝桜でも同じような体験をした。綺麗なバラには棘があると言うが、綺麗な花には悪臭がある。でも年を取ると段々嗅覚が鈍感になる。年を取ると良いこともあるのだ実感した次第。