物価も衣替え

衣替えと言えば6月1日と10月1日。昔は、この日を境に中高校生の制服が、黒から白へ、白から黒へと変ったものだ。だが、最近の中高校生は公立でも制服の自由が許されている。4月からワイシャツ姿で登校する生徒もいるし、今日も黒い学生服で登校する生徒もいる。だから、6月1日が衣替えと言われてもピンと来ない。でも、6月1日が衣替えという事象は残っている。物価の値上げだ。ビールが値上げされた。値上げの背景は、中小規模の酒販店を守るための法改正。大手の酒ディスカウントチェーンの過度な安売りを防ぐという狙いのようだが、飲む方にとっては痛手だ。今月から施行された改正酒税法では、製造価格に販売コストなどを上乗せした適正価格での販売を強いる。安売りするなとは、何かが間違っている。郵便はがきも52円から62円に上がった。郵便事業の収益が悪化したからと言っているが、片方で豪物流会社トール・ホールディングスの買収失敗で4000億円の減損損失を出した。経営の失敗を国民の負担へと転嫁している。電気料金の値上げも常態化している。原油やLNGが上がったとか、原発事故処理費用とか、理屈を付けて膨れ上がるばかりだ。諸悪の根源は総コストに利益を加える総括原価方式にある。ビールもはがきも電力も、中身は変らないのに価格という服だけが変っていく。まさに衣替えのようだ。