目に見えない賠償費用の負担

福島原発事故の廃炉・賠償の費用が、従来想定の2倍である20兆円になることが経産省の試算で判明した。その内、賠償費用は8兆円。現在、賠償費用の5.5兆円分は電力会社が負担することになっている。原発を持つ東電以外の電力会社も原発の出力に応じて一部を負担している。と聞けば、電力会社が賠償金を負担しているようだが、全く違う。朝日新聞の調査によると、電力各社は、数年前の値上げ時に、賠償費用を原価に組み入れた。検針票には記載されないので、国民は誰も知らないまま徴収され続けているのだ。電力会社により異なるが、1世帯当たり年587円~1484円だという。諸悪の根源は、電気料金が総括原価方式で決められるためだ。掛かった費用と利益を足したのが総括原価方式による電気料金。賠償費用が幾ら高くなろうとも、電力会社は痛くも痒くもない。痛がるのは、電気を使う国民だけという構図だ。政府が「費用は電力会社に負担させる」などと言う言葉など信じてはいけないのだ。一方で受け取り側では、賠償金の有無や多寡をめぐって多くの軋轢が起きているという。政府は、国民の負担を国民に分かるように、被災者には賠償金の配布状況を、充分に丁寧に説明すべきだと思う。