埼玉県の県魚

各都道府県には、県旗を始め県花、県木、県鳥などが制定されている。初めて知ったが、県魚(海産物も含む)もあるようだ。例えば、岐阜県のアユ、山口県のフグ、愛媛県のマダイ、高知県のカツオ、広島県のカキなど地産でかつ全国的に流通しているものが殆どだ。だが、埼玉県は変わっている。ムサシトミヨという絶滅が危惧されている希少魚種が県魚に制定されている。ムサシトミヨは、熊谷市内の元荒川上流部に生息している淡水魚。県と市と市民団体が5年毎に調査を行い結果を公表してきた。ところが、県は昨年2月の調査結果を公表しなかった。県は「推定生息数が前回調査を大きく下回り、混乱を招くから」と非公表理由を説明している。推定生息数は、過去の調査で約1万6000~3万4000匹だったが、今回は2000匹程度に激減したようだ。原因は色々考えられる。水草が減ったこと。天敵のザリガニが増えたこと。今回調査に調査熟練者が少なかったこと。調査員が生息環境を壊したこと。調査員が未熟で魚を取り逃がしてしまったこと。要するに、実際にムサシトミヨが激減したのか、調査方法のミスなのか、何も分からないのが現状のようだ。然りとて、環境保全のため2年連続の調査は許可されない。斯くして、調査結果未公表となった次第。だが、埼玉県の論理は変だ。絶滅が危惧されている希少魚種が激減したのであれば、一大事だ。寧ろ結果を公表して、出来る限りの対策を打つべきだ。何もしなければ、激減どころか絶滅してしまうかもしれない。ひょっとすると、埼玉県は県魚であるムサシトミヨなどには興味が無いのかもしれない。埼玉県は変わった県だ。